1. HOME
  2. 木部工事その1  4月初め~

仮補強と化粧垂木・裏甲の補修

4月初めには、早くも補修の工程である木部分の工事に進みました。7日の時点では、屋根の軒を支えるつっかえ棒の様な補助柱が設置されていました。こちらは、おそらく取り外した垂木の部分を再利用したものだと思います。

4月終わりの頃には、雨漏りにより朽ちてしまった、化粧垂木の部分や裏甲の部分の補修が完了していました。きっちりと寸法を合わせて、きれいに補修されているので見ていて気持ちがいいなと思いました。
一番頂上の棟木に取り付けてある溝は、垂木をはめ込む溝となります。元は、拝み合わせという形で組まれていましたが、今回は、垂木彫りに近い形での組み方となります。

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

新しい桔木の搬入と設置

次いで桔木の取り換えを行いました。拝殿北部から、画像は、クレーンで釣り上げて搬入している様子になります。
観ていて思うのが、江戸時代当時は、クレーン車がない中、よく木材をこちらまで運び込み、上に持ち上げたなと思います。当時の様々な方たちの知恵と労力、努力の結晶だと感じました。

垂木の設置

桔木の設置が終わると、次は瓦を乗せる野地板を支える垂木を設置する工程になりました。木材が新しくなり、垂木の設置が進んでいきますときっちりと均整が取れて綺麗だなと思いました。

建築時期を記した墨書の発見

拝殿西面南側付近の垂木の天端より年号の記された墨書を発見
元文四年(1739年)四月廿七日建前と記されていました。

野地板を外した際に、化粧垂木の一部に年号が記されていました。元文四年(1739年)四月廿七日建前
と記してあります。
※建前(たてまえ)とは、木造建築において、柱・梁・桁など主要構造を組み立てること。組み立て作業の最後には、棟を上げるが、(棟上げ)を指すこともある。また、棟上げの際には主要構造の組み立てを終える儀式(上棟式)をおこなうことがある。この上棟式を「建前」という場合もある。
at home  建前(建築の~)とは https://www.athome.co.jp/contents/words/term_3912/ (引用2024-6-25)

とのことです。
この墨書から、当宮の拝殿は、少なくとも1739年には存在していたことが確認できます。
現在のところ、1739年ごろに土台からすべて立てたのか、土台はそのままで上部だけ作り変えて上棟したのかは、定かではありませんが、ある学者の先生には「後者の可能性も十分ありますよ」とご教授いただきました。